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不動産の簡易な机上査定方法【④投資用マンション編】初心者へわかりやすく解説

不動産査定のイメージ

不動産が安いのか高いのかを判断するためには正しい査定知識が必要です。

前回までは「積算評価」と取引事例比較法による「比準価格」を書きました。

今回は投資用不動産の査定「収益評価」について書いていきます。

積算評価や収益評価を併用しいろいろな角度からアプローチすることで

査定精度はあがります。

もしあなたが継続して不動産投資をしていくつもりなら

正しい査定知識を身につけてください。

黒めがね

モチはモチ屋ではありません

銀行や不動産業者にまかせずあなたの身はあなたが守るのです。

僕は20年近く不動産・金融業界で仕事をしてきて2,000件以上の不動産を査定してきました

ぜひ参考にしてみてください。

(僕は不動産鑑定士ではありませんので鑑定評価基準にそった査定方法ではありません。ただ個人で行う不動産投資や自宅購入/売却時において鑑定士ほどの知識は必要ありません。)

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目次

簡易な机上査定方法【投資用マンション編】

収益評価の種類

収益評価には

「直接還元法」「DCF法」

という手法があります。

「直接還元法」は1年間の純利益(収入から費用をひいた額)から

還元利回りで割りもどして価格を求めます。

いっぽう「DCF法」は

あらかじめ定めた保有期間中(3年、5年、10年など)にえられる純利益と、

期間満了後の売却価格を「現在価格」に割りもどして合計する手法。

DCFはディスカウント・キャッシュ・フロー(Discounted Cash Flow)の略。

「DCF法」はあらかじめ保有期間を定める必要があるうえ

「現在価値」というファイナンス理論がふくまれます。

計算はやや複雑ですがエクセルで数式を組んでしまえばそんなに難しくありません。

「直接還元法」より「DCF法」のほうが査定精度は高いといわれていますが、

現在価値という一般的になじみがない概念があるため

中小不動産業者や個人投資家にはあまり広まっていません。

一般的な投資用不動産(マンションやオフィスビルなど)は

数年で賃料相場が大きくかわることはないため

「DCF法」の効果はあまりないです。(私見です)

たとえばホテルやゴルフ場など物件購入後に大きく収益構造をかえて

付加価値(バリューアップ)をつけていくような不動産には有効です。

ようするにかりに保有期間を5年として

毎年の純利益に大きな変化がないのであれば

「DCF法」ではなく1年間の純利益をベースにした「直接還元法」でも

さほど査定額に差はないということです。

この記事では「DCF法」は省略して「直接還元法」について説明していきます。

還元利回り

不動産の還元利回りは二種類あります。

「表面(グロス)利回り」「ネット利回り」です

表面利回りは売出情報に記載されていて満室想定賃料(年間)÷売出価格です。

いっぽうネット利回りは純利益(収入-費用)÷売出価格です。

費用はその物件を運用する人によって違ってくるので

ネット利回りは売出情報には書かれていません。しかし

表面利回りで投資判断するとかならず失敗します

僕は不良債権化(ローン返済が困難になった)した不動産をたくさんみています。

ローン返済が困難になる人は

費用や空室やローン返済などに対する意識が不足しています

なので一つ目に購入した物件で失敗しているにもかかわらず

失敗をおぎなうために二つ目の物件に手を出しさらに失敗します。

失敗しないために知っておくべきことをこれから説明していきます。

空室損

空室のイメージ

さきほど表面利回り=満室想定賃料÷売出価格と書きました。

満室想定は字のとおり満室(100%)稼動を前提にしています。しかし

投資用不動産にはかならず空室がでます

どれくらい空室がでそうな物件かどうかは

あなたが周辺の賃貸需要を調べる必要があります。

売出情報に現行賃料が書かれていることもありますし

仲介業者に現行賃料を聞けば教えてくれます。

ただし現状の稼働がたまたまよかっただけかもしれません。

売主からしてみれば

稼動がいい状態で売却したほうが売却価格は上がります

かりに満室にたいし10%の空室がでるとします。

1年間だと10%は1.2ヶ月分ですね。

空室がでてから原状回復工事して仲介業者に賃貸募集をしてもらい、

契約にいたるまでの期間を考えると短いような気がします。

しかし一般的な住宅の賃貸借契約は2年契約で更新もできます。

2年間だと10%は2.4ヶ月ですよね。

また投資対象の総戸数にもよります。

総戸数4戸のアパートのうち1部屋が空いてしまうとインパクトは大きいですが

40戸のうちの1部屋なら大したことないですよね。

なので空室損は周辺の賃貸需要や物件の条件によって

総合的に判断する必要があります。

費用

ここでいう費用とはいわゆるランニングコスト、運用にかかる費用をさします。

おもな費用は物件の種類によってことなります。たとえば

区分マンション(1部屋)は

1棟マンション、アパートは

となります。

この中でわかりにくいのはPMフィー(プロパティ・マネジメント・フィー)ですね。

プロパティ・マネジメントとは

などのいわゆる賃貸管理業務のこと。

管理業務を委託した会社に払う手数料のことをPMフィーといいます。

大型物件を自主管理することは現実的にむずかしいので

通常は管理会社へ委託することになります。

区分マンションの1部屋でも自主管理が難しいようであれば委託することはできます。

また日常清掃、設備の点検・保守といった建物を維持するための業務

いわゆるビルマネジメント(BM)業務を委託することもできます。

PM・BMを委託するかどうかは物件の種類や規模

あなたがどこまで維持管理にかかわるかによって選択していくことになります。

まとめ

ここまで収益評価をおこなうための前提を書いていきました。

次回もまだ前提です。

何度もいいますが表面利回りで投資判断するとかならず失敗します。

知っておくべきことが多くて大変ですががんばってください。

投資判断するうえで参考になる本を紹介しておきます。

ロバート キヨサキ氏著の

黒めがね

「金持ち父さん 貧乏父さん」です

多くの人が投資に役に立つ本として取りあげていますね。

金持ちになるためには負債をへらして資産を積みあげていくことです。

しかし

表面利回りで投資判断した物件は資産ではなく負債の可能性があります

この本を読むとそのことがよくわかります。

ぜひ一読してみることをおすすめします。

個人ブログですのでセミナーなどはやっていませんが

不動産査定の依頼をお受けしています。

不動産に関連した士業(不動産鑑定士・公認会計士・税理士など)のかたを紹介することもできます。

お気軽にお問い合わせフォームでご相談ください。

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