ビジネス

競売とは?不動産が競売にかけられる理由や流れ【強制競売との違い】

競売のイメージ画像
黒めがね

すっかりウィズコロナの時代になりましたね

コロナを理由に融資をうけたり借入の条件変更をしている人たちにとっても

それなりの期間がたったことになります。

さて融資や条件変更の期日が日々せまってくる中

生活や業況は回復したのでしょうか。

いつか担保になっている不動産が

所有者

競売になってしまわない?

と不安になっていないでしょうか。

この記事では不動産が競売になる理由や競売の流れについてわかりやすく解説します。

僕は15年以上、金融・不動産を専門に仕事をしてきて、たくさんの競売を実行してきました

もしあなたが少しでも借金の返済に不安を感じているようなら

ぜひこの記事を参考にしてみてください。

目次

競売とは?不動産が競売にかけられる理由

不動産の競売とは

競売とは裁判所の手続きで不動産を競りにかけることをいいます。

競りの対象となる不動産は銀行などの担保になっている不動産。

または担保になっていなくても

借金を延滞している人が所有する不動産も競売にかかることがあります。

保証金を裁判所へ提出することで誰でも競りに参加することができます。

競売になる理由

担保不動産競売

借金の担保になっている不動産が競売にかかることを担保不動産競売といいます。

競売にかかる理由は借金を延滞するからです。

くわしく説明すると、

融資をうけるときに債務者(借主)には「期限の利益」というものが与えられます。

黒めがね

「期限の利益」とは弁済が猶予されるということ

つまり毎月契約通りに分割弁済することで

一括で弁済しなくてもいいという利益のことです。

銀行の金銭消費貸借契約書の裏面には必ず

「期限の利益の付与」についての説明が書かれています。

いちど契約書を確認してみてください。

〇〇回延滞した場合には期限の利益を当然に喪失(そうしつ)し・・

と書かれていると思います。

期限の利益を喪失すると遅延損害金(一般的には年14%程度)というものが発生します。

さらに銀行は担保にとっている不動産を競売にかけることができます。

銀行から「期限の利益の喪失通知」という手紙が届いたら

不動産が競売にかかるかもという覚悟をしておいてください。

強制競売

競売には担保不動産競売ともう一つ強制競売というものがあります。

冒頭に説明したとおり

担保になっていない不動産も競売にかかることがあります

理由は同じく借金の延滞です。

カードローンやマイカーローンなど無担保の借金を延滞した場合

銀行などから訴訟をおこされることがあります。

借金の延滞の場合は時効などの相当な理由がない限り銀行側が勝訴します。

勝訴判決が確定すると銀行側は強制執行ができます

強制執行の対象が債務者の所有する不動産におよぶ場合のことを強制競売といいます。

競売が開始された後の流れは担保不動産競売と同じです。

重く圧し掛かる住宅ローン
住宅ローンの返済地獄に苦しむ人の4つの原因【借金する前の注意点】住宅ローン取り組みを考えているあなたへローン延滞の主な原因を債権者の立場からまとめてみました。取り組む際の注意点も解説します。...

競売の流れ

競売申立、開始決定

銀行から裁判所に対して競売申立書が提出されると

裁判所は可否を判断し(通常は否認されません)開始決定をだします。

そして競売開始決定通知書という手紙が裁判所から債務者に郵送されます。

受けとりは拒否できず受けとらない(居留守など)ときは

付郵便送達(受けとったときと同じ効果が発生する)となり

競売の開始ができるようになります。

執行官、評価人の立ち入り

競売が開始されるとつぎに執行官、評価人が不動産に立ち入ることになります。

これも拒否することはできません。

執行官に対し不動産の利用状況などを陳述しなければなりません。

競売3点セット(物件明細書、現況調査報告書、評価書)

不動産への立ち入りがおわると裁判所のほうで競りを行うための書類が作成されます。

書類は物件明細書、現況調査報告書、評価書にわかれ

この3つの書類を競売3点セットといいます。

内容についてはこの記事では説明しませんが

競りに参加する人が不動産の状況を把握するための書類になります。

昔は裁判所に行って閲覧する必要がありましたが

今は不動産競売物件情報サイト(BIT)というサイトで閲覧することができます。

期間入札、代金納付

3点セットの閲覧期間のあといよいよ競り(期間入札)が始まります。

競りに参加したい人は入札期間(一週間くらい)に保証金を納付して

自分が買いたいと思う金額を書いた入札書を提出します。

ここまで(開始決定から入札まで)の期間がだいたい6カ月くらいになります

(開始決定がおくれたり特殊な不動産のときは1年近くかかる場合があります。)

開札され、値段を一番高くつけた人が落札人となり裁判所が売却許可をだします。

保証金をのぞいた残りの代金を納付し落札人があらたな所有者となります。

競売で落札できた人のイメージ画像

任意売却できる期間

競売が開始されても開札までに

黒めがね

6カ月くらいの期間があります

開札されるまでは競売と並行して任意に不動産を売却することができます

別の記事でも書きましたが

任意売却の場合は引越し代などの費用を銀行側がみとめてくれます。

また競売よりも高く売れる可能性があります。

周辺住民の風評などを気にされる人は開札まで(なるべく早め)に

銀行に対し任意売却の意思があることを伝えてください。

お問合せフォームから相談いただいてもかまいません。

できる限り協力させていただきます。

任意売却活動中の物件の画像
任意売却とは?【メリットや不動産競売との違いをわかりやすく解説】ローン延滞している不動産を売却することを任意売却といいます。通常の売却となにが違うのか債権者の立場から解説します。...

競売物件は本当に安いのか(売却基準価額と買受可能価額)

先ほど

黒めがね

任意売却のほうが競売より高く売れる

可能性があると書きました。

また別の記事ではその逆もあると書きました。

「競売物件は安い」というイメージの理由の一つは

裁判所の評価に売却基準価額と買受可能価額というものがあるからです。

裁判所の評価人が査定した価格に対し売却基準価額はおおよそ50%~80%、

買受可能価額は売却基準価額からさらに80%の金額になります。

買受可能価額=入札するときの最低売却価格(それ以上の金額で入札しなければならない)

と覚えておくといいです。

なので買受可能価額は不動産の実勢価格(いわゆる時価)よりも相当安い金額になります。

しかし競売はその名のとおり競りです。

参加するプロたちは魅力的な不動産であれば落札するためにめいっぱい高い金額で入札します。

価値のある不動産であれば競売であってもじゅうぶん高い金額で落札されるということです。

まとめ

期限の利益の喪失通知が届いたり訴訟に敗訴したときは

不動産が競売にかかる覚悟をしなければなりません。

しかし

競売で安い金額で落札されたときは借金が残りさらに銀行の請求は続きます

自暴自棄にならず弁護士などに一度相談することをお勧めします。

任意売却や銀行と和解することにより解決できる可能性もあります。

個人ブログですのでセミナーなどはやっていませんが

不動産査定の依頼をお受けしています。

不動産に関連した士業(不動産鑑定士・公認会計士・税理士など)のかたを紹介することもできます。

お気軽にお問い合わせフォームでご相談ください。