不動産が安いのか高いのかを判断するためには正しい査定知識が必要です。
前回までは「収益評価」をおこなうための前提を書きました。
今回はいよいよ査定方法について書いていきます。
前提がわかってしまえば査定自体はそれほど難しくありません。しかし
もしあなたが継続して不動産投資をしていくつもりなら
正しい査定知識を身につけてください。
モチはモチ屋ではありません
銀行や不動産業者にまかせずあなたの身はあなたが守るのです。
ぜひ参考にしてみてください。
(僕は不動産鑑定士ではありませんので鑑定評価基準にそった査定方法ではありません。ただ個人で行う不動産投資や自宅購入/売却時において鑑定士ほどの知識は必要ありません。)
目次
不動産の簡易な机上査定方法【投資用マンション編】
査定例
今回は収益評価の中でもシンプルな
区分マンション1部屋を査定してみます
まずは表1.をご覧ください。
表1.のようなシートをエクセルでつくっておくと、
情報を手にいれたときすぐに落とし込むことができます。
簡単なシートになっているので
前回、前々回の前提を読んでいればすぐに理解できます。
今回は前回の賃貸事例で集めた
「市ヶ谷駅 徒歩5分、築5年、28.00㎡、家賃100,000円(共益費込)」
の区分マンションを対象としました。
賃料と共益費は実額としましたが、
前回説明したとおり実額が相場とあっているかどうか事例を集めて確認してください。
賃料や費用の実額がわからないときは想定で算出することになります。
今回は全て実額としました。
(費用の想定の仕方はまた別の記事で書きたいと思います)
空室損は▲10%(120,000円/年)
住居系の賃貸借契約は2年契約が基本です。
更新されなければ240,000円=2.4ヶ月であたらしい賃借人をみつける必要があります。
東京都内の市ヶ谷駅から徒歩5分ということを考えれば
2.4ヶ月分の空室損で十分という判断です。
今回の経費率は28%
一般的(都市圏)な水準として
- 木造・軽量鉄骨アパートなら10%台
- RC造のマンションなら20%台
- 店舗・オフィスビルなら30%台
が経費率の目安です。収入に対する水準なので
田舎になるほど高い賃料はとれず経費率はさらに高くなります。
年間収支よりも銀行への返済額が上回ってしまうと赤字。(逆ざや)
毎月の収入よりも支払いが多くなります。
その物件は「金持ち父さん 貧乏父さん」でいうところの資産ではなく負債になります。
今回はネット利回り7.0%(表面利回り9.8%)で査定しましたが、
表2.のように利回りごとの価格、単価がわかるようにしておくと便利です。
あたりまえですがあなたが求める利回りどおりに物件を購入できるわけではありません。
表2.を作っておけばいくらまでなら投資してもいいか判断できますよね。
また今回は区分マンションの1部屋を査定しましたが、
アパートや1棟マンションなどを査定するときは、
表3.のようなレントロール(賃貸借条件を一覧にしたもの)を作成します。
レントロールがあれば
- 全体の稼働率
- 現行賃料の妥当性
- 契約更新・退去時期
- 家賃の滞納状況
- 空室の賃料設定
などの把握に役立ちます。
物件購入後もレントロールを更新していき現況をみながら運用していくことが大切です。
まとめ
収益評価は前提をわかってしてしまえば査定自体はそれほど難しくありません。
たくさんの査定をくり返していくうちに相場の感覚のようなものが身についてきます。
いきおいで投資したり、業者の意見を鵜呑みにせず
個人ブログですのでセミナーなどはやっていませんが
不動産査定の依頼をお受けしています。
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