コロナ禍で借金返済が困難になっている個人、個人事業主、法人はたくさんいらっしゃると思います。
銀行と返済条件の変更ができた人は
ひと安心
といったところでしょうか。
しかし返済ができないからと請求(電話や手紙など)を無視している人はいないでしょうか。
この記事では請求を無視しつづけると
次に債権者がどのような行動をとるのか説明していきたいと思います。
(不動産(担保)については、競売の記事を参考にしてみてください。)
目次
裁判の判決、訴状、呼び出しを無視したら?
債権者が延滞者に対してとる行動
督促(とくそく)
まず初めに延滞が発生したとき債権者はとうぜん債務者に対して督促(とくそく)します。
電話や催告書(さいこくしょ)などの手紙による督促。
場合によっては
自宅や事務所に訪問することもあります
少額の借金に対しては訪問まですることはないかもしれませんが
これは債権者の費用対効果の問題です。
「〇〇カ月債務者から反応がなければ催告書を発送する」とか、
「電話督促はコールセンターへ委託する」など機械的な対応をとることも多いです。
期限の利益の喪失(そうしつ)
融資を受けるときに債務者には「期限の利益」というものが与えられます。
「期限の利益」とは返済が猶予されるということ
つまり毎月契約通りに分割返済することで一括で返さなくてもいいという利益です。
一般的な契約書の裏面には必ず「期限の利益の付与」についての説明が書かれています。
いちど契約書を確認してみてください。
〇〇回延滞した場合には期限の利益を当然に喪失(そうしつ)し・・
と書かれていると思います。
期限の利益を失うと遅延損害金(一般的には年14%程度)というものが発生します。
契約書通りなら〇〇回延滞した時点で期限の利益を失いますが
住宅ローンの場合は6回程度まで延滞をまつことが多いです。
そして契約書通りに当然に喪失せずに
「期限の利益の喪失通知書」という手紙を発送することが多いです。
法的手続き
「期限の利益の喪失通知書」に対しても債務者から反応がないと、
いよいよ裁判所を利用した法的手続きにうつります。
債権者が法的手続きをする理由はいろいろありますが主に3つ。
- 督促に無反応だった債務者が反応してくることへの期待
- 債務者の資産を差し押さえるため
- 時効を伸ばすため
といったところです。次の章以降で説明していきます。
法的手続きの種類
訴訟(そしょう)
訴訟とは裁判所(法廷)で原告=通常は債権者、被告=債務者双方の言い分を聞いたり証拠をしらべたりして
訴訟の途中で話し合いで和解することもできます。
通常(時効や過払い金に争いがない)の貸金訴訟であれば
債権者が負けることはほぼありません。
なので訴状が届いたとしてそれを無視し
調停(ちょうてい)
調停とは裁判のように勝ち負けを決めるのではなく
調停では調停委員(弁護士など)と裁判官が紛争の解決にあたります。
離婚調停という言葉はテレビなどでよく聞くと思います。
貸金についてもお互いの合意を目的に利用されます。
調停を欠席すると合意ができないため調停不成立となります。
不成立は債権者にとって効果はなくその後訴訟へ移行することが多いです。
支払督促(しはらいとくそく)
支払督促とは
のことをいいます。
訴訟とくらべ手続きにかかる費用が安く簡易かつ迅速といった利点があり
借金が少額のときに多く利用されます。
裁判の手続を経ないということは
逆に債務者が異議を申し立てたときは訴訟に移行します。
債務名義、強制執行
債務名義(さいむめいぎ)
債務名義とは
のことです。
具体的には確定判決、調停調書、仮執行宣言付支払督促、公正証書などがこれにあたります。
詳しい説明ははぶきますが
- 訴訟であれば債権者が勝訴した場合
- 調停であれば合意したものの、再度 債務者が支払いを延滞した場合
- 支払督促であれば債務者から異議申し立てがなかった場合
に債権者は債務名義を得ることができ次に強制執行に移ります。
強制執行(給与差押、預金差押など)
強制執行とは債務名義を得た債権者の申し立てよって
債務者に対する請求権を裁判所が強制的に実現する手続です。
別記事で説明した不動産競売も強制執行のひとつです。
不動産以外への強制執行としては
勤め先が債権者に知られている場合は
勤め先に債権差押命令という手紙が裁判所から届きます。
預金口座を債権者に知られている場合は少ないですが
最近では「第三者からの情報取得手続」という裁判所の手続きが設けられています。
債務者が口座を持っていそうな金融機関に対し
まとめ
以上が延滞者に対して債権者がとる行動の流れになります。
強制執行されても
とられる資産はなにもない
と開きなおれる人は聞き流してもらってかまいません。
しかしいつ債権者からなにを差し押さえられるかわからないと
希望どおりの内容で和解できるかはわかりませんが一度専門家へ相談してみてください。
きっと専門家が解決の糸口を見つけてくれるでしょう。
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